はじめに
ここで扱うのは、2人(または本人)の命式に出やすい“気をつけたい配置”です。どれも「悪い相性」と決めつけるためのものではありません。傾向を早めに知って、乗り越え方とセットで前向きに伝えるための道具として使います。断定しない・脅さない——これが鑑定士の基本姿勢です。
① 合去 ごうきょ=干合が用神を奪う
干合(かんごう)は、日干どうしが引き合う「強く惹かれ合う良い縁」。でも、その干合が化す五行が、本人にとっての忌神(きしん=強すぎ注意の五行)だと、話が少し変わります。
干合が化す五行(合化)
甲己→土/乙庚→金/丙辛→水/丁壬→木/戊癸→火
この化す五行が本人の忌神のとき、それが合去です。理屈はこう——強く惹かれ合う(干合)けれど、一緒にいると忌神が強まり、頼みの綱である用神(ようじん=その人に足りなくて助けになる五行)が働きにくくなって消耗しやすい。「惹かれるのに、なぜか一緒だと疲れる」という、あの感覚です。
伝え方(断定しない)
縁が良いのは事実(干合)。そのうえで「意識して休む・自分の時間や考えを大切にする」と、心地よさが長続きします。逆に化す五行が本人の用神・喜神(きしん=味方してくれる五行)なら、惹かれ合いながら調子まで上向くとくに良い縁として前向きに伝えます。
例題
本人=日主(にっしゅ=生まれた日の自分=あなた自身)己(土・身強)で、忌神は火・土。お相手=日主甲。この2人は?
→ 甲己が干合して化す五行は「土」。土は本人の忌神。だから合去です。強く惹かれ合う(干合)のに、一緒にいると土が強まって用神が働きにくく、消耗しやすい——「惹かれるのに、なぜか疲れる」型。
※もし化す五行が本人の用神なら、逆に惹かれ合いつつ調子も上向く最良の縁になります。
② 配偶宮の空亡 はいぐうきゅうのくうぼう
配偶宮(はいぐうきゅう)=日支は、相手そのもの・結婚生活を表す最も大事な柱。ここに相手の日支が、本人の空亡(天中殺)として入る——これが配偶宮の空亡です(本人の日支が相手の空亡に入る逆も同じ)。
空亡は「気が抜けて実感がわきにくい」場所。だから配偶宮が空亡に入ると、縁が薄れやすい・距離を感じやすい・掴みどころがないと感じることがあります。
乗り越え方
相性が悪いというより、放っておくと“手応えのなさ”につながりやすいだけ。思っていることをこまめに言葉にし、会う時間や約束を大切にすると、縁はしっかり深められます。※空亡は冲・合で解ける(解空)ので、時期によって手応えが戻ることもあります。
例題
本人=日柱己未(空亡=子・丑)。お相手=日柱癸丑。この2人は?
→ お相手の日支(配偶宮)は「丑」。これは本人の空亡(子・丑)に入っています=配偶宮の空亡。お相手そのものを表す柱が空亡なので、距離・掴みどころのなさを感じやすい配置。言葉と約束を大切にすると縁は深まります。
③ 官殺混雑 かんさつこんざつ=正官と偏官が混じる
正官(せいかん)と偏官(へんかん)の両方が命式にある状態。官殺(かんさつ=仕事・責任・立場をあらわす星)は、女性にとっては夫星(配偶者を表す星)です。
| その人が | 官殺混雑の読み(傾向) |
| 女性 | 夫星・縁の星が複数入る=異性の縁が重なりやすく、気持ちが揺れやすい(悪いのではなく縁が多いだけ)。一対一の信頼を丁寧に育てると落ち着く |
| 男性 | 責任・立場の星が複数=あちこちから頼られ板挟み・重責を抱えやすい。役割を絞ると力を発揮 |
婚活・結婚で相手を見るとき、とくに女性の官殺混雑は大事な判断材料。ただし「異性関係にだらしない」等と断定しないこと。縁が多い=それだけ魅力があるとも読めます。
例題
女性、日主己(土)。命式の天干に甲と乙がある。この人は?
→ 己(土)から見て、甲(木)は正官・乙(木)は偏官=正官と偏官の両方=官殺混雑。女性なので夫星が複数=異性の縁が重なりやすく気持ちが揺れやすい傾向。悪いのではなく縁が多い(=魅力がある)。一対一の信頼を丁寧に育てると落ち着きます。
④ 争財 そうざい=劫財奪財(ごうざいだつざい)
比劫(比肩・劫財)が多く(過多)、そこに財星があると、比劫が財を奪う配置になります。これが争財。財(ざい=お金・人脈・縁をあらわす星)は、男性にとっては妻星(配偶者を表す星)であり、誰にとってもお金を表します。官殺混雑とちょうど対になるパターンです。
| その人が | 争財の読み(傾向) |
| 男性 | 財=妻星が奪われやすい=妻縁・お金をめぐって競争・横やりが入りやすい(悪い人ではなく財が動きやすいだけ)。お金の線引きと一対一の信頼を大切に |
| 女性・その他 | 散財・お金の貸し借り・共同出資で財が出入りしやすい。お金の線引きを意識すると安心 |
例題
男性、日主戊(土)。比肩・劫財が3つと多く、財星の水もある。この人は?
→ 比劫(自分・仲間)が過多で、そこに財(水)がある=比劫が財を奪う=争財。男性なので財=妻星=妻縁やお金をめぐって競争・横やりが入りやすい傾向。悪い人ではなく財が動きやすいだけ。お金の線引きと一対一の信頼を大切にすると安定します。
まとめ
POINT
・合去=干合(惹かれ合う)だが化す五行が忌神=一緒だと消耗しやすい/化喜なら最良
・配偶宮の空亡=相手が本人の空亡に座す=縁が薄れやすい・掴みどころがない
・官殺混雑=正官+偏官=女性は夫星が複数(異性縁が複雑)/男性は板挟み
・争財=比劫過多で財を奪う=男性は妻星が奪われる/女性等は散財
・どれも断定せず、必ず“乗り越え方”とセットで前向きに——縁は工夫で深められます